締切直前に舟券が一気に売れたレースは、人気を信じてよいのか?
舟券のオッズは、多くの投票者の判断が集まって形成されます。いわば、競艇ファンによる「集合知」です。
これまでの検証でも、人気上位の舟券ほど的中しやすく、オッズには相応の正確性があることを確認してきました。
では、締切直前に投票が集中したレースでも、その集合知は同じように機能するのでしょうか。
今回は、締切2分前から1分前までの1分間に、推定売上がどれだけ増えたかに注目し、売上増加率と三連単人気順位の関係を調べました。
今回調べたこと
対象は、締切2分前と1分前の両方でオッズを取得できたレースです。
締切2分前の推定売上を基準にするのではなく、最終的な推定売上のうち、この1分間に増えた割合を算出しました。
(締切1分前の推定売上 - 締切2分前の推定売上)÷ 締切1分前の推定売上
例えば、締切1分前の推定売上が100万円で、締切2分前から30万円増えていれば、売上増加率は30%です。
※本記事の「売上」は、取得したオッズデータをもとに算出した推定値であり、公的に発表された確定売上額ではありません。また、オッズの集計・反映時刻にはずれが含まれる可能性があります。
増加率による分類
| 区分 | 締切前1分間の売上増加率 | 扱い |
|---|---|---|
| 調査ブロック | 1%以下 | 参考値として分離 |
| 低増加 | 1%超~15%未満 | 通常分析 |
| 通常 | 15%以上~25%未満 | 通常分析 |
| 高増加 | 25%以上~30%未満 | 直前集中群 |
| 急増 | 30%以上 | 直前集中群 |
売上増加率が1%以下となったレースは、実際に投票が少なかった可能性がある一方で、推定売上やTELEBOAT側の集計時刻による影響も否定できません。そのため、異常値とは断定せず、主要分析とは分離しました。
調査期間
- 2025年8月~10月
- 2025年11月~2026年1月
- 2026年2月~4月
- 2026年5月~7月
3か月ごとに4期間へ分け、特定の時期だけに現れた傾向ではないかも確認しました。総対象数は14,610レースです。
全期間を合算した結果
| 売上増加率 | レース数 | 人気上位3点 | 人気上位5点 | 人気上位10点 | 的中舟券の平均人気順位 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1%以下 | 130 | 30.77% | 41.54% | 54.62% | 15.80位 |
| 1%超~15%未満 | 3,407 | 28.09% | 38.89% | 56.88% | 16.15位 |
| 15%以上~25%未満 | 7,921 | 28.75% | 39.68% | 56.86% | 16.15位 |
| 25%以上~30%未満 | 2,063 | 24.67% | 36.06% | 53.47% | 17.53位 |
| 30%以上 | 1,129 | 24.89% | 37.82% | 54.38% | 18.12位 |
25%以上で人気上位の的中率が低下
最も件数が多い15%以上~25%未満の通常群と比較すると、25%以上の2群では、人気上位3点・5点・10点のいずれも的中率が低くなりました。
- 人気上位3点:約28.75%から約24.7~24.9%へ低下
- 人気上位5点:約39.68%から約36.1~37.8%へ低下
- 人気上位10点:約56.86%から約53.5~54.4%へ低下
また、的中した舟券の平均人気順位も、通常群の16.15位に対し、25%以上~30%未満では17.53位、30%以上では18.12位まで後退しています。
締切前1分間に、最終売上の25%以上が入ったレースでは、人気上位で決まりにくくなる傾向が見られました。
時期を変えても再現したのか
最初に2026年5月~7月を調べた際には、30%以上の群で人気精度が大きく低下していました。
しかし、過去の期間まで広げると、30%以上の群だけが常に悪いわけではありませんでした。時期によっては、30%以上の群が25%以上~30%未満の群を上回ることもあります。
一方、25%以上~30%未満の群は、4期間すべてで、15%以上~25%未満の通常群より人気上位3点・5点・10点の的中率が低下しました。
| 期間 | 15~25% 上位3点 | 25~30% 上位3点 | 15~25% 上位5点 | 25~30% 上位5点 | 15~25% 上位10点 | 25~30% 上位10点 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2025年8~10月 | 27.65% | 24.21% | 37.93% | 34.21% | 55.21% | 52.63% |
| 2025年11月~2026年1月 | 28.30% | 26.38% | 39.69% | 37.80% | 57.61% | 53.15% |
| 2026年2~4月 | 31.31% | 21.37% | 42.30% | 34.73% | 59.37% | 53.05% |
| 2026年5~7月 | 27.88% | 27.11% | 39.10% | 37.96% | 55.32% | 55.31% |
差の大きさには時期によるばらつきがあります。特に2026年5月~7月の人気上位10点では差がほとんどありません。
それでも、すべての期間で同じ方向を示したことから、30%という一点を境界にするより、25%以上を「直前投票集中群」として見る方が、今回のデータには適していると判断しました。
なぜ直前に売れたレースほど人気が外れたのか
今回の統計だけでは、原因までは特定できません。考えられる方向は、少なくとも三つあります。
1.直前投票によって人気が偏った
締切直前に特定の買い目へ投票が集中し、本来の勝つ確率以上に人気が押し上げられた可能性です。
2.難しいレースほど投票判断が遅れた
直前投票が人気を崩したのではなく、もともと予想が難しいレースだったため、投票者が最後まで判断を保留していた可能性もあります。
3.売上規模の違いが影響した
売上の小さいレースほど、少額の追加投票でも増加率が高くなりやすい傾向があります。そのため、今回見えた差の一部が、低売上レースの特徴である可能性も残ります。
今回確認したのは、直前の売上増加率と人気精度との関係です。「直前投票が増えたから人気が外れた」とまでは断定できません。
回収率について
回収率は、期間や購入する人気順位によって大きく変動しました。
人気上位の的中率が下がっていても、中穴や高配当が数本含まれれば、回収率は高くなることがあります。したがって今回の検証では、回収率よりも、的中舟券が人気上位に収まった割合を主な判断材料としました。
今回の結論
締切前1分間に、最終売上の25%以上が入ったレースでは、人気上位で決まりにくくなる傾向が確認されました。
この傾向は、2025年8月から2026年7月までを3か月ごとに分けた4期間で、概ね同じ方向を示しました。
ただし、30%以上になればさらに悪化するという単純な関係ではありません。今回のデータでは、25%以上~30%未満と30%以上は、時期によって優劣が入れ替わりました。
したがって、今回得られたのは、
締切直前に投票が集中しているレースでは、普段より人気上位を過信しない方がよい可能性がある
という、一つの注意信号です。
これだけで買い目を決められるものではありませんが、「集合知としてのオッズが、どのような場面で弱くなるのか」を探る材料としては、興味深い結果になりました。
今後の検証
次は、締切3分前から2分前までの売上増加率も調べることで、単に投票が遅いレースなのか、それとも最後の1分だけ急激に投票が加速したレースなのかを分けられます。
- 2分間を通して投票が多かったレース
- 最後の1分だけ急加速したレース
- 締切に近づくほど投票が失速したレース
ここまで分けることができれば、「売上増加率」ではなく、締切直前の投票速度の変化と人気精度の関係まで確認できそうです。
集計データのダウンロード
今回の検証に使用した集計結果は、以下からダウンロードできます。
※上記ボタンのリンク先「#」を、WordPressへアップロードしたExcelファイルのURLに差し替えてください。
本記事における「売上」は、三連単オッズから算出した推定値であり、公式に公表された売上額ではありません。また、オッズの取得時刻とTELEBOAT側の集計時刻が完全に一致していることを保証するものではありません。検証結果は、将来の的中や利益を保証するものではありません。

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