前回の検証では、過去1年間のデータから「万舟に絡みやすい選手」に偏りがあるのかを調べました。
その結果、短期間では目立つ選手が現れるものの、年間を通して安定して万舟に絡み続けるような傾向は、あまり強くないことが分かりました。
今回は、その検証をさらに一歩進めます。
単純に「万舟に何回絡んだか」だけではなく、
その選手が1着・2着・3着になったとき、それぞれどの程度万舟になっていたのか
まで分けて集計しました。
また、前回集計では十分に扱えていなかった同着レースについても処理を見直しています。
たとえば3着が2艇存在する場合は、両選手を3着として正しく評価しています。
今回追加したデータ
対象期間は前回と同じく、2025年8月から2026年7月までの12か月です。
今回の選手別データには、次の項目を追加しました。
- 万舟関与回数
- 出走数
- 万舟1着関与回数
- 1着回数
- 万舟2着関与回数
- 2着回数
- 万舟3着関与回数
- 3着回数
これによって、
「よく万舟に絡む選手なのか」
だけではなく、
「その選手が○着になったときに、万舟になりやすいのか」
という見方ができるようになりました。
まず全体では、万舟への関与率は約8.52%
12か月分を合計すると、今回集計した出走数は319,664、
万舟への関与回数は27,232回でした。
| 項目 | 集計値 |
|---|---|
| 出走数 | 319,664 |
| 万舟関与回数 | 27,232 |
| 1出走あたり万舟関与率 | 約8.52% |
さらに着順別に見ると、
| 着順 | その着順になった回数 | 万舟だった回数 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 1着 | 54,785 | 9,077 | 約16.57% |
| 2着 | 54,787 | 9,077 | 約16.57% |
| 3着 | 54,796 | 9,078 | 約16.57% |
全体だけを見ると、1着・2着・3着による大きな差はありません。
では、選手ごとに見るとどうでしょうか。
「今月よく万舟に絡んだ選手」は翌月も続くのか
まず前回の検証を、今回の修正版データでも改めて確認しました。
各選手について月ごとの
万舟関与回数 ÷ 出走数
を求め、翌月との関係を調べます。
極端に出走数が少ない選手の影響を減らすため、両月とも10走以上した選手を対象にしました。
2025年8月→9月から、2026年6月→7月までの11区間について調べたところ、
月間万舟関与率の相関係数は平均で約0.025でした。
相関係数は、1に近ければ「前月高かった選手は翌月も高い」、
0に近ければ「ほとんど関係がない」と考えることができます。
0.025は、ほぼ関係がないと言ってよい数字です。
11区間それぞれを見ても、おおむね-0.034~0.068の範囲に収まっていました。
つまり、
今月よく万舟に絡んだから、来月も同じ選手が万舟に絡みやすい
という考え方を支持する結果は、今回も確認できませんでした。
月間TOP50を追いかけても、ほぼ偶然と変わらない
もう少し分かりやすい方法でも確認してみました。
各月20走以上している選手を対象に、
万舟関与率の上位50人を選びます。
そして、その50人のうち何人が翌月もTOP50に残っているかを調べました。
11区間の平均は、
2.36人
でした。
では、これは多いのでしょうか。
各月の対象人数を考慮して、50人ずつを無作為に選んだ場合に期待される重複人数を計算すると、
平均は約2.32人になります。
実際は2.36人。
偶然なら2.32人。
ほとんど同じです。
この結果からも、「最近よく万舟に絡んでいる選手」を追いかけるだけでは、
翌月の万舟を見つける材料にはなりにくいと考えられます。
ところが「何着になったか」で見ると少し違った
ここからが今回の追加検証です。
選手ごとに、
- 1着になったとき、何%が万舟だったか
- 2着になったとき、何%が万舟だったか
- 3着になったとき、何%が万舟だったか
を計算しました。
さらに期間を、
- 前半:2025年8月~2026年1月
- 後半:2026年2月~2026年7月
の半年ずつに分け、前半の特徴が後半にも残るのかを確認しました。
各半年でその着順が10回以上あった選手に限定すると、相関係数は次のようになりました。
| 指標 | 対象人数 | 前半と後半の相関 |
|---|---|---|
| 1着時の万舟率 | 912人 | 約0.362 |
| 2着時の万舟率 | 1,117人 | 約0.078 |
| 3着時の万舟率 | 1,231人 | 約-0.010 |
2着と3着については、ほとんど継続性がありません。
一方、1着になったときの万舟率だけは、少し関係が残りました。
ただし、ここは慎重に見る必要があります。
「1着時の万舟率」に特別な能力があるわけではなさそう
母数をさらに増やし、前半・後半とも1着が20回以上ある選手だけに限定すると、
1着時の万舟率の相関は約0.126まで低下します。
つまり、
この選手は、1着になるといつも万舟を作る
というような、強い個人特性が存在するとまでは言えません。
では、最初に見えた0.362という関係は何だったのでしょうか。
そこで今度は、
普段どれくらい1着になる選手なのか
との関係を調べました。
普段1着が少ない選手ほど、その1着が万舟になりやすい
年間で1着が10回以上ある選手を対象に、
- 通常の1着率
- 1着になったときの万舟率
の関係を調べました。
対象は1,375人。
相関係数は約-0.615となりました。
これは今回の検証の中では、かなり大きな関係です。
簡単に言えば、
普段からよく勝つ選手ほど、その1着は万舟になりにくい。
反対に、
普段あまり1着にならない選手が勝ったときほど、万舟になりやすい。
という傾向です。
考えてみれば、これは不思議な話ではありません。
普段から1着になることが多い選手が勝っても、多くの舟券購入者にとってそれほど意外な結果ではありません。
しかし、普段の1着率が低い選手が勝てば、人気どおりの決着から外れやすくなります。
その結果として、高配当になる可能性も高くなると考えられます。
「万舟に絡む選手」を探していたつもりが……
ここまで調べてみると、今回見えているものは、
「万舟を生みやすい特別な選手」ではない
可能性が高そうです。
むしろ重要なのは、
その選手が、その着順に来ることがどれくらい意外なのか
なのではないでしょうか。
「誰が万舟に絡みやすいか」という選手そのものの特徴より、
普段の成績から見て起こりにくい着順が発生したときに、配当が大きく動く。
今回の結果は、そんな当たり前とも言える舟券の仕組みを、実際の1年分のデータから確認したものとも考えられます。
同着レースも正しく評価するよう修正
今回の集計では、同着についても処理を見直しました。
たとえば3着に2艇が同着した場合、両選手を3着として評価します。
実際、2026年1月の万舟レースでは、
| 着順 | 万舟関与回数 |
|---|---|
| 1着 | 852 |
| 2着 | 852 |
| 3着 | 853 |
となっており、3着同着による追加の1件も集計されています。
発生頻度としては大きな数字ではありませんが、
長期間の統計を扱う以上、こうした例外も正しく扱うことにしました。
今回の検証から分かったこと
- 全出走に対する万舟関与率は約8.52%だった
- 月間の万舟関与率は翌月へほとんど引き継がれない
- 月間TOP50の翌月重複人数も、ほぼ偶然と同程度だった
- 2着・3着時の万舟率には、選手ごとの継続性はほとんど見られなかった
- 1着時の万舟率には多少の継続性が見えたが、母数を増やすと弱くなった
- 普段の1着率が低い選手ほど、その1着が万舟になりやすい傾向が強かった
したがって今回の結果からは、
「万舟に絡みやすい選手を見つければよい」という単純な話ではない
と考えた方がよさそうです。
それよりも、
「その選手がこの着順に来るのは、普段と比べてどれくらい意外なのか」
という見方の方が、万舟という現象の説明には近いのかもしれません。
検証に使用したデータ
今回の検証に使用した、選手別の万舟統計データをExcel形式で公開します。
各月の出走数・万舟関与回数に加えて、
1着・2着・3着それぞれの通常回数と万舟関与回数も収録しています。
また今回のデータでは、3着同着などのケースについても、
該当する両選手を正しく着順へ反映するよう集計方法を見直しています。
※本資料は、当サイト独自の集計・研究を目的として作成したものです。
※特定の選手について、将来の成績や高配当への関与を保証するものではありません。
※舟券の購入判断は、ご自身の責任でお願いいたします。
まだ先がありそうです
もちろん今回の集計だけで、「万舟になる理由」を説明できるわけではありません。
艇番、選手の級別、モーター、開催場、対戦相手、人気、オッズなど、
実際のレースには多くの条件が関係します。
今回確認したのは、あくまで選手の着順実績と万舟との関係です。
それでも、
「万舟に絡む選手」というところから調べ始めた結果、
最後には「選手ではなく、その結果の意外性を見ているのではないか」というところまで辿り着きました。
こういう結果になるから、データを掘ってみるのは面白いところです。
今後は「選手」だけを見るのではなく、
艇番や人気順位なども組み合わせて、
どんな条件で“意外な着順”が発生しやすいのかを調べてみると、さらに面白い結果が出るかもしれません。

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