ボートレースには、一般戦、GⅢ、GⅡ、GⅠ、SGといったレースグレードがあります。
では、レースのグレードが違えば、舟券の売れ方にも違いがあるのでしょうか。
今回は、2025年8月~2026年7月の1年間を対象に、レースグレードごとに締切直前の投票増加率と、3連単人気順位の生起割合・回収率を集計してみました。
調べてみると、回収率以上に興味深い違いが見えてきました。
今回の検証について
今回対象としたレース数は、以下の通りです。
| グレード | 対象レース数 |
|---|---|
| 一般 | 41,100 |
| GⅢ | 3,811 |
| GⅡ | 665 |
| GⅠ | 2,466 |
| SG | 475 |
ここでいう「投票増加率」は、締切2分前から締切にかけて、推定売上がどの程度増加したかを表しています。
※本研究で使用している「売上」は、公式に公表された売上額ではなく、取得したオッズ等から算出した推定値です。
そのため、実際の売上額とは多少異なる可能性があります。以下では、その推定値を用いた比較としてご覧ください。
まず見えたのは「締切直前の売れ方」の違い
最初に、締切2分前からの投票増加率をグレード別に比較してみます。
| グレード | 15%未満 | 20%未満 | 25%以上 |
|---|---|---|---|
| 一般 | 21.1% | 52.3% | 22.2% |
| GⅢ | 36.7% | 69.7% | 11.1% |
| GⅡ | 46.6% | 79.8% | 5.6% |
| GⅠ | 62.8% | 93.0% | 1.8% |
| SG | 86.3% | 96.4% | 1.3% |
かなりはっきりした違いです。
一般戦では、締切2分前から売上が25%以上増加したレースが22.2%あります。
ところがグレードが上がるにつれ、
- 一般:22.2%
- GⅢ:11.1%
- GⅡ:5.6%
- GⅠ:1.8%
- SG:1.3%
と、25%以上増加するレースは急激に減っていきます。
反対に「15%未満」で収まるレースを見ると、
- 一般:21.1%
- GⅢ:36.7%
- GⅡ:46.6%
- GⅠ:62.8%
- SG:86.3%
となりました。
グレードが上がるほど、締切直前になってから増える票の割合が小さくなる。
今回の集計では、この傾向がかなり明確に表れています。
SGでは約6割が「10~15%増」に集中
特に特徴的だったのがSGです。
SG475レースのうち、締切2分前からの増加率が10~15%未満だったレースは290レース。
割合にすると、61.1%です。
さらに15%未満まで広げると410レースとなり、全体の86.3%を占めます。
一般戦とは、かなり違った分布です。
一般戦では中心となるのが、
- 15~20%未満:12,850レース
- 20~25%未満:10,459レース
- 25~30%未満:5,530レース
となっており、SGよりも締切直前になってから大きく票が増えるレースが多いことが分かります。
なぜ高グレードほど増加率が小さいのか
今回の結果だけで原因まで断定することはできません。
ただ、ひとつ考えやすい仮説があります。
SGやGⅠは、締切2分前になるまでに、すでに多くの票が入っているのではないか。
注目度の高いレースほど、早い時間帯から投票する人も多いと考えられます。
その場合、締切2分前の時点ですでに売上の母数が大きいため、その後に同じ金額の投票が入ったとしても「増加率」としては小さくなります。
反対に一般戦では、締切直前になってから投票される割合が相対的に高い。
そう考えると、今回の分布の違いにも説明がつきます。
ただし、この仮説を確認するには、今度は締切2分前時点の推定売上額そのものをグレード別に比較する必要がありそうです。
高グレードだから「人気通り」になるわけでもない
もうひとつ確認してみたのが、3連単の人気順位です。
| グレード | 1番人気の生起割合 | 3番人気以内 |
|---|---|---|
| 一般 | 11.0% | 26.9% |
| GⅢ | 10.9% | 24.8% |
| GⅡ | 8.9% | 22.3% |
| GⅠ | 9.0% | 24.7% |
| SG | 8.2% | 22.1% |
「SGは強い選手ばかりだから、人気通りに決まりやすいのでは?」とも考えたくなります。
ところが、少なくとも今回の3連単人気順位を見る限り、そのような結果にはなっていません。
1番人気の生起割合は一般戦の11.0%に対してSGは8.2%。
3番人気以内でも一般戦26.9%に対し、SGは22.1%でした。
もちろん、これだけで「SGの方が荒れる」と結論づけることはできません。
ただ、「高グレード=3連単も人気通りに決まりやすい」と単純には言えなさそうだという結果になっています。
回収率には面白い数字もあるが……
人気順位ごとの回収率にも、いくつか目を引く数字がありました。
例えばSG全475レースで、毎レース3連単5番人気を100円購入したものとして集計すると、回収率は約100.0%となっています。
数字だけを見れば、かなり面白い結果です。
しかし、ここは慎重に見た方がよさそうです。
一般戦が41,100レースあるのに対して、SGは475レース、GⅡは665レースしかありません。
さらに投票増加率ごとに細分化すると、
- SG・20~25%未満:11レース
- SG・25~30%未満:6レース
- GⅡ・30~35%未満:6レース
といった非常に小さな母数になります。
こうした区分では、たまたま高配当が1本入っただけでも回収率が大きく跳ね上がります。
したがって今回の回収率については、「こんな数字も出ている」という参考値として見るのが妥当でしょう。
今回いちばん面白かったこと
今回の研究を始める前は、
「一般戦とSGでは、人気順位や回収率に違いがあるのだろうか?」
というところを想像していました。
ところが実際に集計してみると、それ以上に明確だったのが、締切直前の投票増加率の違いでした。
一般戦では締切直前まで票が大きく動くレースが多い。
一方、GⅠやSGになると、締切2分前にはかなり票が入った状態になっているように見えます。
レースのグレードによって、結果だけではなく「舟券が買われるタイミング」にまで違いがあるのかもしれません。
これは、今回の集計で見つかった面白い特徴だと思います。
“`html検証データのダウンロード
今回の「レースグレード別統計」で使用した集計データを、Excel形式(.xlsx)で公開します。
2025年8月~2026年7月の1年間について、一般・GⅢ・GⅡ・GⅠ・SGそれぞれのレースを対象に、締切2分前からの投票増加率や3連単人気順位、回収率などを集計しています。
※ファイル内の「売上」に関する数値は、公式発表値ではなく、取得したオッズ等から算出した推定値です。
実際の売上額とは異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
ファイル名:レースグレード.xlsx
まとめ
- 2025年8月~2026年7月の1年間をグレード別に集計
- 一般戦では締切2分前から25%以上売上が増えるレースが22.2%
- SGでは25%以上増えるレースはわずか1.3%
- SGの86.3%は締切2分前からの増加率が15%未満
- グレードが上がるほど、締切直前の増加率は小さくなる傾向が明確
- 一方、3連単が高グレードほど人気通りになるという結果は確認できなかった
- 細分化した回収率は母数が小さいため参考値として扱う必要がある
「SGだから特別」という違いは、レース結果だけに現れるとは限らないようです。
舟券を買う人たちの投票するタイミングそのものにも、レースグレードの特徴が表れているのかもしれません。
次に調べるなら、締切2分前の推定売上額そのものをグレード別に比較してみると、この違いの理由がもう少し見えてきそうです。

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