競艇で三連単の払戻金が1万円を超える、いわゆる「万舟」。
では、この万舟に絡みやすいレーサーには偏りがあるのでしょうか。
たとえば、あるレーサーが3着以内に入ったレースでは、なぜか万舟になる割合が高い――。
そんな傾向が選手ごとに存在するのであれば、なかなか興味深い話です。
そこで今回は、2025年8月から2026年7月までの1年間を対象に、
レーサーごとの「万舟関与率」を集計し、
その傾向が短期間だけのものなのか、それとも長期間にわたって継続するのかを調べてみました。
短期間では、万舟関与率が大きく上昇するレーサーが確かに見つかりました。
しかし、前半6か月で高かったレーサーが後半6か月でも高いとは限らず、
長期間にわたって同じ傾向が強く再現されるとは確認できませんでした。
今回調べた「万舟関与率」とは
今回の集計では、レーサー本人が三連単の1着・2着・3着に入り、
そのレースの三連単払戻金が1万円以上だった場合を「万舟への関与」としました。
そして、次の式でレーサーごとの万舟関与率を計算しています。
たとえば100回出走し、そのうち12回、3着以内に入ったレースが万舟だった場合、
万舟関与率は12%となります。
なお、この指標には「そもそも3着以内に入る回数が多いかどうか」も含まれます。
したがって、レーサー自身の能力とは切り離された純粋な「万舟の発生能力」を表すものではありません。
この点については後ほど改めて触れます。
まず、全体ではどのくらい万舟に関与しているのか
1年間の延べ出走数は258,640、
そのうち万舟への関与は27,222でした。
全レーサーをまとめた万舟関与率は、
となりました。
月ごとに確認すると、次のようになります。
| 対象月 | 万舟関与率 |
|---|---|
| 2025年8月 | 10.50% |
| 2025年9月 | 11.06% |
| 2025年10月 | 11.02% |
| 2025年11月 | 11.07% |
| 2025年12月 | 10.32% |
| 2026年1月 | 10.23% |
| 2026年2月 | 10.88% |
| 2026年3月 | 10.25% |
| 2026年4月 | 10.21% |
| 2026年5月 | 10.43% |
| 2026年6月 | 10.15% |
| 2026年7月 | 10.48% |
最も低い月で10.15%、最も高い月でも11.07%。
全体の万舟関与率そのものは、1年間を通してかなり安定しています。
つまり、ある月だけ極端に万舟が多かったためにレーサー別の数字まで上昇した、
という単純な話ではなさそうです。
ところが、3か月単位では高い関与率のレーサーが現れる
次に、期間を3か月ずつに区切って確認してみました。
偶然数回出走しただけのレーサーが上位になることを避けるため、
3か月間の出走数が40回以上あるレーサーを対象とし、
万舟関与率20%以上となった人数を調べています。
| 3か月期間 | 関与率20%以上 |
|---|---|
| 2025年8月~10月 | 10人 |
| 2025年9月~11月 | 7人 |
| 2025年10月~12月 | 12人 |
| 2025年11月~2026年1月 | 9人 |
| 2025年12月~2026年2月 | 10人 |
| 2026年1月~3月 | 11人 |
| 2026年2月~4月 | 11人 |
| 2026年3月~5月 | 6人 |
| 2026年4月~6月 | 6人 |
| 2026年5月~7月 | 11人 |
全体では約10.5%ですから、20%というのはその約2倍です。
それにもかかわらず、どの3か月期間を切り取っても、
関与率20%以上となるレーサーが複数存在しました。
10通りの3か月期間を通して、一度でも20%以上になったレーサーは74人。
しかし、そのうち60人は該当した期間が1回だけでした。
一方で、その状態がそのまま継続するレーサーが多いわけではありません。
なお、今回の3か月集計は期間を1か月ずつずらした「移動集計」のため、
隣り合う期間には同じレースが含まれています。
複数期間に登場したことを、それぞれ独立した現象として扱うことはできません。
前半6か月で高かったレーサーは、後半も高いのか?
ここからが今回、最も知りたかった部分です。
1年間を、
- 前半:2025年8月~2026年1月
- 後半:2026年2月~2026年7月
の2期間に分けました。
さらに、偶然の影響を少なくするため、
前半・後半ともに50走以上している1,141人を対象に比較しました。
前半と後半の相関係数は0.085
前半6か月の万舟関与率と、後半6か月の万舟関与率の相関係数を計算すると、
となりました。
1に近ければ「前半で高かったレーサーは後半でも高い」という関係が強く、
0に近いほどその関係は弱いことを意味します。
0.085という結果からは、
前半の万舟関与率だけで後半の高低を説明するのは難しい
と考えるのが自然でしょう。
上位20%だったレーサーは、その後どうなった?
さらに、前半6か月の万舟関与率によってレーサーを5つのグループに分け、
後半6か月の結果を確認しました。
| 前半のグループ | 前半の関与率 | 後半の関与率 |
|---|---|---|
| 低い20% | 7.19% | 10.13% |
| 次の20% | 9.08% | 9.93% |
| 中央20% | 10.52% | 10.32% |
| 次の20% | 11.94% | 10.51% |
| 高い20% | 14.57% | 10.81% |
これはなかなか興味深い結果です。
前半では、
最も低いグループが7.19%、
最も高いグループが14.57%と、
約2倍もの差がありました。
ところが後半になると、
- 低い20% → 10.13%
- 高い20% → 10.81%
まで差が縮まっています。
前半で極端に低かったグループは上昇し、
極端に高かったグループは低下して、
どちらも全体平均である約10.5%付近へ近づいています。
いわゆる「平均への回帰」を思わせる結果です。
前半の上位10%は、後半にも残ったのか
もうひとつ、より直感的な比較もしてみました。
前半・後半とも50走以上の1,141人から、
単純順位でそれぞれ上位10%にあたる114人を抽出しました。
前半で上位10%だった114人のうち、
後半でも上位10%に入ったのは8人でした。
上位グループの顔ぶれが、そのまま半年後まで維持されているわけではないことが分かります。
では、年間を通して高いレーサーはいないのか?
ここは慎重に考える必要があります。
年間150走以上したレーサー937人を確認すると、
年間の万舟関与率が15%以上となったレーサーは18人存在しました。
最も高い年間関与率も約16.95%あります。
したがって、
と結論づけるのは適切ではありません。
実際、年間を通して比較的高い数字を残したレーサーは存在します。
しかし、レーサー全体で見ると前半と後半の相関は非常に弱く、
前半の上位グループが後半でも同じように上位になる傾向も強くありませんでした。
そのため今回の結果からは、
レーサー全体に強く存在するとまでは確認できなかった。
という表現が最も近いように思います。
今回の検証から見えてきたこと
今回の1年間のデータから確認できたことを整理すると、
次のようになります。
- 全体の万舟関与率は約10.5%で、月ごとの差は小さい
- 3か月単位では20%を超えるレーサーが毎回複数現れる
- ただし、その高い関与率が長期間続くケースばかりではない
- 前半6か月と後半6か月の関与率の相関はかなり弱い
- 前半で極端に高かったグループも、後半には全体平均へ近づく
- 年間を通して高い関与率となったレーサーも一部存在する
つまり、
しかし、その偏りがレーサー固有の特徴として長期間安定して続くとは限らない。
というのが、今回の検証から見えてきた結果です。
短期間の数字ほど魅力的に見える
今回の検証で個人的に興味深かったのは、
3か月程度で集計すると、かなり目立つ数字のレーサーが見つかることです。
全体平均が約10.5%なのに対して、20%を超える。
中にはそれ以上の数字になるケースもあります。
こうした数字だけを見ると、
「このレーサーには何か特徴があるのでは?」と考えたくなります。
しかし期間を半年、1年へ伸ばしてみると、その印象が変わってきます。
短期間の突出した数字を、そのままレーサー固有の性質と考えるのは危険。
今回、3か月だけで終わらせず1年間まで調べたことで、
むしろこの点がよく見える結果となりました。
検証データのダウンロード
今回の検証に使用した、2025年8月~2026年7月のレーサー別・万舟関与率データをExcel形式で公開します。
各月ごとに、レーサー別の出走数、万舟への関与回数、万舟関与率などを収録しています。
記事ではレーサー個人の順位や評価を目的としていませんが、実際の集計データを確認してみると、
短期間では関与率が大きく上昇するケースや、期間を延ばすことで数字が平均へ近づいていく様子なども確認できます。
2025年8月~2026年7月(12か月)
主な収録項目
・レーサー登録番号
・レーサー名
・出走数
・万舟関与回数
・1着・2着・3着での万舟関与回数
・万舟関与率
本データは、過去の競走結果を独自に集計した検証用資料です。
レーサーの能力を評価・順位付けすることや、将来の万舟発生、舟券結果を予測することを目的としたものではありません。
万舟関与率が高かったレーサーについても、その傾向が将来継続することを示すものではありません。
今回の検証でも、短期間で見られた大きな偏りが、期間を延ばすことで変化するケースが確認されています。
数値は「その期間に実際に起きた結果」としてご覧ください。
Excelですので、期間ごとの比較や並べ替えなども自由に行えます。
記事とはまた違った視点で眺めてみると、興味深い発見があるかもしれません。
今回の「万舟関与率」には、まだ課題がある
今回使用した万舟関与率は、
万舟で3着以内に入った回数 ÷ 総出走数
です。
そのため、もともと3着以内に入ることが多いレーサーほど、
万舟にも関与する機会そのものが増えます。
次の検証としては、
- 万舟で1着になった回数 ÷ 全1着回数
- 万舟で2着になった回数 ÷ 全2着回数
- 万舟で3着になった回数 ÷ 全3着回数
というように、
「その着順になったとき、どれくらい万舟になっていたのか」
を調べる方法も考えられます。
こちらを調べると、
今回とはまた違ったレーサーごとの特徴が見えてくるかもしれません。
まとめ
「万舟に絡みやすいレーサーはいるのか?」
そんな疑問から始めた今回の調査。
短期間だけを見れば、万舟関与率が非常に高くなるレーサーは確かに存在しました。
しかし1年間のデータを前半・後半に分けて確認すると、
その順位や関与率にはかなりの入れ替わりがありました。
今回のデータからは、
特定のレーサーが常に同じような高い万舟関与率を示す、
という強い再現性までは確認できませんでした。
一方で、短期間に万舟関与率が大きく高まる現象そのものは、
決して珍しいものではありません。
「誰が高いか」だけではなく、
「その高い状態は、どのくらい続くのか」。
今回の検証では、こちらの方がずっと興味深いテーマなのかもしれない、
という結果になりました。
本記事は2025年8月~2026年7月の競走結果を独自に集計・検証したものです。
集計期間内の結果から統計的な傾向を確認することを目的としており、
個々のレーサーの能力や今後の成績、将来の万舟発生を予測するものではありません。
また、過去の傾向が将来も継続することを保証するものではありません。

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